ドラゴンクエスト ダイの大冒険の外伝的なスピンオフ作品である、 勇者アバンと獄炎の魔王の第38話『おお勇者よ』ネタバレ、感想記事です。
今回の内容は、Vジャンプ2024年3月号でご覧になれます。
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※ネタバレを含みますので、まだ読んでいない方は注意。
・バルトスの願い
首飾りから家族の存在を推測し、あえて危険な不殺の手段を選んだアバンに対し、バルトスは驚きを隠せません。
小さな生命の存在に、心が揺れるのは当然だと言うアバン。
そんなアバンに対し、バルトスは完全に負けを認めます。
それは、力だけでなく心においてもです。
アバンの門を開けて欲しいという願いに対し、快諾するバルトス。
ここで彼からも、あるお願いをします。
それは、"ヒュンケル"の事です。
人間の子を拾って育てていたという、今までの経緯を話したバルトスは、もしアバンが勝利した場合にヒュンケルを彼に託す事は出来ないかと懇願しました。
既に死した身の魔物ごときが愚かな事をと、己を卑下するバルトスに対し、アバンは感謝の意を示します。
「あなたのおかげで一人の人間の子供が戦火の中で死なずに済んだ・・・!」
この言葉に、バルトスは感銘を受けます。
アバンがヒュンケルを育てる事を快諾すると、バルトスは「かたじけない」と彼の手を強く握りました。
そして、"地獄門"を開いたバルトス。
アバンは彼に礼を言うとともに、謝罪をしました。
バルトスを救って、魔王だけを倒す方法が無いからです。
しかし、ヒュンケルさえ人間の世界に戻れるのであれば、バルトスにはもはや一片の悔いもありません。
それは、アバンとの勝負も含めて全てです。
・魔王との接見
アバンを見送ったバルトスは、ハドラーが敗れるかも知れないと予感します。
まさに勇者と呼べるアバンと接したバルトスは、アバンの仲間たちが生命を捨てて彼を先に進めた事や、魔王軍の猛者たちがことごとく突破されてしまった事に納得したのです。
勇者側と魔王軍側の違い・・・それは"魂の差"だという事を痛感しました。
魔王の間へと続く階段を駆け上がるアバンは、道中でハドラーが"グランナード"を生み出すために引っかいた壁を見つけます。
そして、最後の扉を開くと、そこには玉座に座るハドラーの姿が・・・
「・・・よく来た。さすがと褒めてやろう」
遂に接見した二人ですが、ハドラーは至って冷静な様子です。
ハドラーがアバンを褒めたのは、地獄門を開けてここまで来たという事は、配下が全て倒されたであろうからだと言います。
全てを見ていたはずのハドラーですが、倒されたのだろうと妙な言い回しです。
不審に思ったアバンが辺りを見ると、そこには瀕死の状態の"悪魔の目玉"が転がっていました。
配下たちの余りの不甲斐なさに、途中で見るのを止めたと言うハドラー。
様々な種族から選び抜いた精鋭たちと信じていたが、期待を裏切られたと配下を蔑む彼は、"地獄門"が開く音が聞こえた時に心の底から失望したと言います。
・魔王の誘い
己の配下たちを蔑むハドラーの言葉に対し、怒りに身を震わすアバン。
魔王軍の精鋭たちと死闘を繰り広げたアバンたちは、彼らが自らの誇りをかけて全身全霊で戦う者ばかりだった事を知っているからです。
だた一人、その場しのぎで造られた"グランナード"を除いては・・・
魔物たちの必死の戦いを蔑むなど、邪悪の魔王としての器すら疑わしい。それが本心であればハドラー既に敗れたりと、アバンは怒りを露わにします。
すると・・・!?
アバンの言葉を黙って聞いていたハドラーは、突如「・・・勇者よ・・・オレの部下になれ」
なんと彼は、アバンを己の部下にすべく勧誘し始めたのです。
更に、部下になれば世界の半分を与えてやるぞと、具体的な報酬を示します。
これは、本家のドラクエⅠの"りゅうおう"のセリフのオマージュですね。
何故、ハドラーは急にこんな事を言い出したのか・・・
それは、彼が今、アバンの本当の価値に気付いたからでした。
あらゆる種族の中で、人間を一番軽んじていたと言うハドラー。
弱くて脆い人間の勇者であるアバンが現れた当時は、「人間にしては中々やる」ぐらいの認識でしかなかったようです。
そのため、幾度となく戦う中でアバンが振り絞る底知れぬ力に、ハドラーは恐怖しました。
こんなはずはない。人間のくせにと・・・
しかし、それが間違っていた事に気付いたのです。
アバンは特別であり、種族の枠を超えた存在である事を。
更にハドラーは、「オレと同じだ!」と、自身も種族を超えた存在であると考えているようです。
そのため、同じ仲間として世界を半分づつ分け合い、支配しようと考えたのでしょう。
「オレがそうであるように、おまえも支配する側の者・・・」
ハドラーは魔族を、そしてアバンは人間たちを掌握し支配する。
今まで力を求め、欲しいと思った強者たちを皆手に入れてきたと言うハドラー。
人間にも遂にそのような男が現れた、それだけの事だったと、彼がアバンを誘った事は当たり前の流れだと言うのです。
YesかNoか?
選択をせまるハドラーに対し、アバンの答えは当然"No"です。
ハドラーが今までどんな人生を歩んできたかは知らないが、少なくとも一人で今の力を得たわけではないと言うアバン。
幾多の人々との繋がりが彼を育み、強くしてくれた・・・
他者より優れた力の持ち主は、支配者になって当然だというハドラーの考え方に対して、アバンは根本からその考えが理解できません。
そして、アバンも今この場で理解できました。
ハドラーとは決して、相入れないと!!
・最終決戦開始
アバンの答えを聞いたハドラーは、それ以上説得する事はなく、雌雄を決する以外の選択肢はないと立ち上がりました。
そして、炎で玉座の後ろの幕を焼き払ったハドラー。
どうやら、玉座の後ろに"広い部屋"があるようです。
二人が戦うには狭すぎるという事もあり、決戦の舞台として相応しい広い部屋へとアバンを案内します。
その頃、"悪魔の目玉"を通して二人のやり取りを見ていた、大魔王バーンとミストバーン。
そこに、死神"キルバーン"が現れます。
彼は、得意のカードで勝敗の結果を占って差し上げましょうかと提案しますが、バーンは興が醒めると止めました。
キルバーンは、天地がひっくり返っても人間が魔王に勝てる訳がないと言いますが・・・
「・・・ひっくり返るかもしれんぞ・・・その天地が」
まさかの返答に驚くキルバーンが後ろ手に占いをすると、スペードのAが出現します。
この時にピロロが「うそぉ」と言っていた事から、恐らくアバンが勝つとの結果になったのだと考えられます。
そして遂に、勇者と魔王の一騎討が始まりました。
両者共に駆け出して、今にも激突しそうな場面で物語は終了します。
・感想、まとめ
バルトスが"地獄門"を開くまでの過程が描かれていました。
この時からバルトスは、ハドラーが負けるという予想を立てていたのですね。
禁呪法で生み出された魔物は主の性格が反映される事から、バルトスが生み出された当時のハドラーは、武人の心を持った器の大きい人物だったのでしょう。
原作で超魔生物化した時の性格に近かったのでしょうか?
しかし、今の彼は、負けたという結果だけで配下を蔑む様な、器の小さい男に成り下がってしまいました。
"グランナード"が、現在の彼の写し鏡といった所なんだと思います。
そして、二人を見ていたバーンも、アバンが勝つと予想していたのでした。
いよいよ、二人の対決が始まります。勝敗は当然分かっているのですが、どの様な戦いを繰り広げるのかが楽しみです。
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