ドラゴンクエスト ダイの大冒険の外伝的なスピンオフ作品である、 勇者アバンと獄炎の魔王の第30話『いざ地底魔城』ネタバレ、感想記事です。
今回の内容は、Vジャンプ2023年6月号でご覧になれます。
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※ネタバレを含みますので、まだ読んでいない方は注意。
・勇者の装備
アバン復活後、初の再会を果たした二人。
突っ立ったままの二人に対し、マトリフは抱擁の一つぐらいしろとがっかりしますが、言葉のいらない間柄というのもあるのです。
原作でアバンとフローラが再会した際は、まさかアバンが生きていたとは夢にも思っていないフローラが、気絶してしまいました。
また、フレイザードに氷漬けにされていたレオナとダイの再会では、ダイが子供の様にはしゃいだ事で雰囲気がぶち壊しだと、レオナが激怒していましたね。
アバンにせよダイにせよ、勇者たちは男女の感動的なシーンが苦手なのかも知れません。
そして、フローラの後ろにはカール騎士団団長の"コバルト"の姿も。
もっとも、彼は元団長であり、現在はロカの後輩の"エルドラ"が団長を務めているようです。
この"コバルト"は、原作で"バラン"との一騎打ちで敗れてしまった"ホルキンス"の父親です。
アバンに贈り物があると言うフローラ。
なにやら彼女の後ろに置かれた荷物がモゾモゾと動いています。
その正体は、ジュニアール家の執事である"ドリファン"でした。
ドリファンまでもが戦場に!?驚くアバンでしたが、彼がここへ来た理由は他にありました。
カール王家に伝わる秘宝の"聖剣"、"盾"、そして"鎧"を勇者アバンの装備として鍛え上げ直すよう、フローラから依頼されていたのです。
ドリファンが荷物のカバーを外すと、ジュニアール家の紋章が刻まれた神々しい装具が姿を現しました。
カール装備の上から重ね着できる仕様となっており、早速アバンは装着してみます。
その姿はまさに、文句なしの"勇者"といった出で立ちです。
このジュニアール家の紋章、どことなく"ロト"の紋章をモチーフにされている印象を受けました。
アバンの姿に沸く一行の元に、ディードックが取り逃がした"ドラゴンフライ"が襲い掛かります。
それに気付いたアバンが駆け出しました。
アバンは"ドラゴンフライ"の吐く激しい炎を盾で受け流すと、そのまま一刀両断しました。
その鬼神の如き強さに、みんなの士気は最高潮に達します。
ドリファンに礼を言いながら、頂上へと駆け上がるアバン。
そのドリファンに魔物たちが襲い掛かります。
しかし・・・!?何と彼は軽やかな身のこなしで、難なく魔物たちを倒してしまったのです。
・すべての戦いを勇者のためにせよ
頂上に辿り着いた一行。
ここでロカ以外の3人は、何かを感じたようです。
マトリフ曰く、それは人間の侵入者の魔力を弾く"見えない壁"を通過したからでした。
マトリフは"不死鳥のかがり火"で位置を確かめると、複数あった結界を一気に壊します。
原作でのバーンパレスは、大破邪呪文である"ミナカトール"を用いる事で何とか結界を破る事が出来ましたが、やはりバーンとハドラーでは魔法力が桁違いなのか、ハドラーの結界はマトリフが難なく破壊する事が出来たようです。
そして、先陣を切って地底魔城に突入しようとするアバンを、ロカが制止します。
先頭は俺に任せろと言うロカ。ここで彼の口から、"すべての戦いは勇者のためにせよ"という、原作に登場した名言が発せられました。
何とここで、この"全ての戦いを勇者のためにせよ"がブロキーナの言葉であった事が明かされます。
先日、ロカとレイラがブロキーナの元を訪ねると、彼からハドラーの強さの秘密は大きく2つあると教えられました。
1つは、天才的な戦闘センスを持っていること。
こちらが必殺の攻撃を繰り出しても、その直撃を外し威力を殺してしまう。その超感覚を上回り炸裂するような一撃でなければ、致命傷にならない。
そして、もう1つこれが厄介であり、戦闘中でも異常な回復力を発揮していること。
魔族には、魔法力を体内に発動させるだけで身体を治癒することができる者がいるが、その中でもずば抜けた再生能力の持ち主なのです。
つまり、超強力な技で一気に絶命させなくては倒せないという事です。
ここまでの話を聞いて、ロカはピンときました。そうです"アバンストラッシュ"でなければハドラーを倒す事は出来ません。
マトリフも"メドローア"という一撃必殺の呪文を開発しましたが、流石に実戦の中でハドラーの隙を突いて決めるのは至難の技です。
彼もそれが分かっていたからこそ、アバンが奥義を極めてから行動を起こしました。
"全ての戦いは勇者のためにせよ"。つまり、魔王に通じるのはアバンの一太刀だけであり、いかにアバンのダメージを少なくしてハドラーの前に送り出せるかが彼らにとって重要なのです。
しかし、魔王軍側もガンガディアの策でハドラーを先陣に出さずに、彼の力を温存しようとしています。
これで、アバンとハドラーはお互い、万全の状態で一騎討ちする事になりそうですね。
そして、山の麓の敵たちは、世界中から集まってくれた仲間たちが戦ってくれています。
仲間たちの頑張りを無駄にしないためにも、本番の地底魔城は彼らがしっかりと落とさなければなりません。
これは原作で、ダイたちがバーンパレスに突入する際、世界中から集まった仲間たちが地上で戦ってくれていた事のオマージュでしょう。
ここでロカは、司令塔となってそれぞれの役割を命じます。
自身が先頭になり、2番手にアバン、レイラにはその後ろでアバンの回復や戦闘のフォローを、そしてマトリフには殿を頼みました。
お株を奪われたマトリフですが、彼が言いたかった事は全てロカが言ってくれたようです。
マトリフは"不死鳥のかがり火"を先頭のロカに渡しました。これは、魔力を強く感じる方に反応する魔王の居場所への導き手となります。
それぞれの役割が決まった所で、いよいよ地底魔城へ突入開始です。
・バルトスの想い
一方その頃、地底魔城内部では、バルトスの元に勇者たちが攻め入ってきた事が伝えられていました。
遂に、原作でヒュンケルの回想シーンにあった、バルトスがヒュンケルを匿う感動の場面です。
ヒュンケルは、自身の身長よりも大きな剣を引きずりながら、戦いに参加しようとしています。
しかし、バルトスにその剣を優しく奪われ、「おまえは戦う必要はない」と小さな部屋に入れられました。
勇者の強さを伝え知っていた彼は、この時点で己の最期を予知していたのかもしれません。
「ここから決して出るではないぞ!」
ヒュンケルに釘を刺したバルトスは、「そして・・・ワシがもし死んでも強く生きるのだ・・・一人でな・・・」
そう言い残すと、静かに扉を閉め錠を下ろしました。
バルトスは、心の底からヒュンケルの事を我が子だと思っていたのですね。そうでなければ、自分が死んでも何とか生きていて欲しいとは考えない筈です。
バルトスは、ヒュンケルとの出会いを思い出します。
彼らの出会いは、戦地で親に見捨てられたまだ赤子のヒュンケルを、バルトスが発見した時です。
魔族であれば、赤子であろうと命を奪う事が通常ですが、武人の心を持った彼は違いました。
この時、原作では描かれていませんでしたが、バルトスは葛藤したようです。
人間の子である以上、いつかこういう日が来る事は予想できたからです。
しかし、ヒュンケルのすがる様な瞳を見捨てる事は出来ませんでした。
そして、ヒュンケルから貰った首飾りを握りながら、「勝ってみせる」と心に誓ったバルトス。
意を決した彼は、決戦場である最後の守り"地獄門"へと出陣します。
・感想、まとめ
勇者の最強装備が登場し、物語もいよいよ佳境に差し掛かったようです。
"全ての戦いを勇者のためにせよ"が、ブロキーナの言葉であった事が明かされました。
原作では、アバンからこの言葉がレオナに伝えられ、ダイは万全の状態でバーンの元に向かう事が出来ました。
魔王軍側もハドラーが地底魔城の奥に待機している事から、2人はフルパワーでぶつかり合う事になるのでしょう。
そして、バルトスがヒュンケルを匿うシーンです。遂にここまで来たんだなと、原作を知っている人であれば感慨深い場面ですね。
ここで気になるのが、ロカの死です。
原作での回想シーンから、恐らくバルトスとアバンは一対一で戦うと思われます。
となると、ロカを死に至らしめるのは、ガンガディア戦でしょうか?
それとも、他に強敵が潜んでいるか、あるいは凶悪な罠が仕掛けられているのか?
次回以降が気になる所です。
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